芸術作品というものはしばしば異文化の急激な刺激を受けることから、目も覚めるような鮮麗な大輪の花を咲かせる。珠を加えた鳳首、破綻のない優美な全体の形姿、把手の優れた造型、宝相華文の貼花の端正さ、美しい緑・褐・白釉の配置など全てが高水準で調和している貴族的匂いがする唐三彩の傑作。
唐時代はシルクロードを通じた国際交流の盛んな時期で、首都長安にはササン朝ペルシャを始めとする西アジアの文物が流入し、異国文化に満ち溢れていた。この水注もペルシャの金属器を摸倣した「胡瓶」の形状。しかし細部は中国的に洗練させてある。三彩の優麗な釉色は、基となった金属器よりも異国情緒を表わすのに相応しいものに思える。北朝に始まる貼花装飾はここに一つの完成を見たといえる。三彩の豊麗さ・色彩効果も著しく、唐代文化の性格を考察し、またひいては東西交渉史の具体的な事例を知る上でも貴重な意義を持っているといえる。西安近郊墓近時出土。
類例が重要美術品で東京・森村家蔵と兵庫の白鶴美術館と東京国立博物館に収蔵されている。
参照本 : 1.「中国陶磁 美を鑑るこころ」 2.「平凡社版 中国の陶磁 3 三彩」 3.「世界陶磁全集 9」 |