磁州窯。
何と美しい品であろうか。胴中央部には牡丹唐草と、中央の前後には繁茂した唐草の中に隠れるように鳥が意匠される。上下の花弁文と共に、流れるような素早いタッチの削り方によって躍動感のある力強さ・美しさが横溢する。たっぷり掛けられた白化粧と薄く施された鉄絵具が文様部分に勢いよく彫りこまれ、中国陶磁のもつ清楚な雰囲気・比類のない崇高美そのものである。鉄絵具の色も漆黒にあがり、欧米でいわれるアイボリーホワイトとの対比も極めて美しく、快く目に訴えかけてくる。
白地黒掻落は技法による制限もあり、幾分文様に硬さが残るのが普通であり、一見鉄絵描きとも思われるほどの文様構成は手慣れ、且つ熟練した陶匠の技が全開したといえよう。密な樹間にひっそりと隠し絵のように描かれた鳥、深遠な趣向は見事でありこのような意匠は初見。優品である。宋代陶磁こそは古今東西に渡り人類がもつ事のできた最も美しい器物であったといえる。もうこれ程の美しさの陶磁器はこの世には造られまい。黒い部分は漆黒、白いところは象牙のような肌をし焼き物とは思われないような質感がある。
香港著名収蔵家より10年余がかりの懇願で入手。中国陶磁の名作に接したときはぞっとするような戦慄を覚えるといわれるがまさに。
参照 : CJ-054 、CJ-037 、CJ-030 、CJ-020 |