唐代にはじまる陶枕使用の慣習は五代から両宋・遼・金・元の時代にかけての長い時代に亘って流行し、陶枕もこれに伴なって盛んに生産された。そうして生産の中心は華北の磁州窯に移り特色のある様々の陶枕が作られた。形は大型化して臥枕として適当な大きさとなり、形も様々な物が作られた。大別すると箱型枕系統のものと、人・獣枕系統とに分けることができる。本品は如意頭形といわれる形であり、他には長方形・扇面形・楕円形・分銅形等多種がみられる。刻花でもって牡丹唐草文を花部は黄釉を、唐草には緑釉を掛けている。裏面も同様、牡丹唐草文を台部まで密に刻し、二色釉を掛け、幻想的、官能的な感じを醸し出しており、少し紅みのある白土と、黄・緑釉との三色の階調が美しい。
これらの陶枕はかつて副葬品説があったが現在では実用に供されたことが詩文など文献によって明確になっており、土大夫層の使用習慣が拡がったと知れる。俗に宋三彩と呼ばれるもので、全体の図柄の大らかさ、ゆったりした造りから金代にずり込まず宋代の品であろう。如意頭形枕には白地鉄絵、白地黒掻落し製品に特に優品が知られる。枕として使用されない時はベッドの端に前倒しに立てて置かれた。美しい文様が一段と室内の華やかさを彩ったことであろう。如意形であるのは吉祥的で、つまり夢が如意(意の如し)。叶う枕といった意味が込められている。類品を見ない珍品である。多種多様な造型・模様でもって変化に富む。陶枕は収集アイテムとしてコレクターも多い。
参照 : CJ-003 、 CJ-027 |