甲盛り形状に形成(茶方でいう藤実方)した合子。赤と緑色で輪郭を取り、大きく兎を描いている。左右・下は草花が描かれ、緑色を部分的に加えている。生地にたっぷりと白釉を塗り、生き生きとした筆の運びが赤・緑の発色を鮮やかな美しい仕上げとしている。描きなれたスピードある筆致で、中国民画の世界を表現しており、日本人には特に愛好されてきた宋赤絵の世界。合子は極めて少なく、初出資料。
宋赤絵は陶磁器の最後の段階ともいえる赤絵の最初のあらわれであり、どうしてこれが出現したか、この謎はまだ解かれていない。とりわけ鮮麗な赤絵具はそれ以前全くなかったもので、その発見は偶然の出来事であったろうとさえ言われる。宋赤絵の年代は、現在では北宋最末期(12世紀後半)の出現と推測されている。近頃では磁州が金の占領下にあった事から「宋赤絵」と呼ばず「金赤絵」と呼んでいる。現代の人の目利きが取り上げ、将来名品といわれる品物であろう。過去に取り上げられた品だけに頼っている状況では駄目だ。
兎は古代中国の銅器、漢代の瓦や画像石にも現れ、兎の餅つき伝説を生み出す起源となったもの。仲秋から初冬の茶会にふさわしいといえよう。
雲州蔵帳記載 松平不味の所持品として古くから茶人間で親しまれてきた光悦作「兎絵楽焼香合」を彷彿とさせる。日本では兎は餅をついているのだが、中国では不老不死の薬をついている事になっている。現在は修武窯の作品と考えられている。
近時フフホト近郊墓出土品。 |