DK-453 青銅虎食人ゆう
時代:殷晩期〜周初  、サイズ:高さ 37cm×横 24cm×奥行 17cm
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座っている虎の姿につくられている。器頂には蓋があり、蓋の上には立獣がついている。提梁は全体にち文を飾り、両端に獣首を配している。虎の前足には顧首龍文を飾っている。
虎と思しき怪獣に人が正に食われようとしている姿であるとも、また逆に虎が子供に乳を与えている様だとも言われるが、いずれにしてもその怪異大胆な造形意匠は近代人の発想を超えたものがある。未開のエネルギーを豪放に形象化しながらも、器面全体にはそれを覆うように精緻な雷文や動物文が深く穿たれており、その創造が極めて高度の彫塑鋳造技術に支えられている。全体に漲る高い緊張感は古代とその時代を生きた工人の異様なまでの精魂の傾注を物語っている。虎は神権と王権の力を表している。
当時の工人は、殆どが殷との戦いに敗れ捕らわれて奴隷とされた異民族の人々であり、鋳造工房は失敗すれば殺されかねない緊迫したものであったろう。現在見ることが出来る青銅器は青・緑・黒などの色調を呈するが、これらはいずれも錆びた結果である。青銅は錫と銅、鉛などからなる合金で本来は金色を呈する。本来は丁寧に磨かれて金色に輝き、当時の人々に驚異と憧れの念をもよおさせたことであろうが、その痕跡が見られる。同型同意匠品は現在2点のみ知られる。一つは今日に至るまで数ある住友コレクション、泉屋博古館の白眉とされシンボルでもあり、義和団事件後ほどなく日本に流入したといわれる品。もう一点は辛亥革命直後収蔵されたパリのチェルヌスキー博物館の一点。宝鶏青銅器収蔵家より強奪。

参照 : GK-654
参照本 : 泉屋博古 中国古銅器編









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