今日までに知られているこの種の帯鈎の中で、最も複雑な意匠を持つ。猫科の獣が鈎の部分を形成する頭部を後方にもたげつつ、下にいる獲物を真っ直ぐ見据え、鳥の長い羽を左足の鋭い爪でぐいと引っ張って鳥の嘴を開いた頭部と首は後方に弓なりに反っている。鱗と羽毛を表した鳥の翼のうち、一方は反った首の後方から開かれて伸び、鱗状に重なり合った羽根を右前足でつかむ猫科の獣の体を覆い隠している。鳥に2本の細い鱗のある足は、翼の両側で上方に曲がっている。猫科の獣の体は鳥の羽の下から現れており、2本爪のある後足を見せている。右後足は長い鳥の尾の末端を掴む為に伸び、左後足は上方に達して鳥の反った首を捉える。
脚の背後から伸びる猫科の獣の巻き込んだ尾には縞文様とハート型のモティーフが付いている。鳥のもう一方の翼は猫科の獣の左前脚の下で上方に向けて伸びている。二対の動物の体はあらゆる部分が金銀箔で豪華に象嵌され、渦巻き文によって強調され、縞・斑点・鱗文などで変化が付けられた曲線形の文様帯が作り出されている。七つの大粒の円形のトルコ石が文様上にバランスよく配置され、彩りを加えている。裏面の円形取付具には渦文・菱文が金銀錯されている。
ほぼ同意匠、幾分小さい品を先年MIHO美術館に納入。 |