銀製鍍金。高価な素材が使用された小ぶりの品。舎利を供養する為に製作されたものと考えられる。6角の細長い棒状に成形された柄の上端に、光背を負って蓮華座に座る如来と左右に脇侍が浮き彫り風に表現される。ハート型をした頭部は左右各3個の鐶を通した上で柄の上部に蝋付けされ、その頂部には宝珠がかたどられている。錫杖は釈迦のものであり、仏教世界における最高の権威を象徴する。
寺院の地下に作られた舎利(仏の遺骨)の安置場所に奉納されていた品で、大切な舎利に捧げるものであるため細部まで丁寧に成形されている。唐時代の仏具はさほど類例が知られるず特に錫杖の遺品は少なく貴重な遺例。仏教信仰の原点の一つである舎利信仰の中でも、法門寺の仏塔地下に祀られた舎利は古くから釈迦の真骨(本物の骨)の一つと固く信じられ中国全土から広く信仰され、1987年地宮から合計3件の錫杖が発見されており、それぞれ金・銀・青銅という異なる素材で作られ大きさも三者三様である。
近時洛陽郊外仏塔地下より2個出土。空海が唐の恵果より授かった善通寺蔵錫杖は右左に持国天・増長天を配す類型品である。
参照 : DK-146 |