青銅で作られた円鏡。背面に鍍金した銀板を貼付した鏡。銀盤上12支と四神を叩き出し、動物文に鍍金している。外区は12支、内区は四神を明瞭に浮き出し、全身に鏨を入れ全てが生々と力強い。地は花唐草と魚子文を稠密に刻んでいる。
鈕は半球状。華やかな雰囲気に満ちた鏡背である。唐になると伝統的な円形・方形を打破し、八角形・菱形・海棠花形など多種の様式が現れた。構図も多様、制作は精巧美麗になった。唐の玄宗は常に百官に鏡を下賜したし、又銅鏡は当時の娘が必ず準備した嫁入り道具であった。唐朝の金銀器の造形や花紋は中国の伝統を継承し、またペルシャなどの芸術のスタイルも吸収しており、二者は巧みに結合して古いものの中から新しいものを編み出した。恐らく模様配置は初出資料。
四神は朱雀・白虎・玄武・青竜であり、四方を守り、12支は昼夜12時にわたり守護することを表わしている。四方の星座を動物にみたてた四神の観念は戦国〜前漢時代に成立し後漢にかけて流行した。六朝〜隋唐時代以後、朝鮮半島・日本に及んだ。初期の隋唐鏡には倣古的要素が強かったことを知らしめる例。戦国時代以来千年以上続いた鈕を中心にして同心円状に構成する鏡の文様が8世紀中葉を境として鏡背を一つの画面にみたてた絵模様に変っていく(参照:DK-201)。
四神は明日香村のキトラ古墳壁画にも描かれており(7世紀〜8世紀初)日本にも影響を与えている。
参照 : DK-095 |