胴横断面が棗形をした薄手の爵。注ぎ口(流)は非常に幅が狭く、付根に立つ双柱は短く小さい。胴は中央で段を形成しており、下部が膨れている。底部は完全な平底で、底端部より3本の細い突足が伸びる。文様は胴中央の段をはさんで左右に饕餮文が施される。商代前期(二里岡期)の最も古い形式に属する。扁平なほど鋳型を作りやすかったのであろう。翼を広げて今にも飛び立とうとする鳥を連想させないでもなく、実際古い書物の中には爵の形を小鳥に喩えた記述がある。
爵の用途としては酒を温めたり(底に火で焼かれた跡の残っているものもある)注いだりする以外に、杯としても使用されたのではないかとも言われており、学者や専門家の間でも意見が一致していない。古い書物の中では、爵は飲酒器であると記述されているが、いつも觚と呼ばれる青銅器と一緒に出土するのが常と言われ、觚が一つ出土すれば爵が一つ、二つ出土すれば爵も二つ、常に対になって出土すると言われる。このことから考古学者はこの二つの器には密接な関係、酒杯と徳利の関係があると考えている(又酒を温めて飲むときは勺を、温める必要のないときは觚を用いたとも考えている)。
見る人に与える安定感、作品の素晴らしい出来上がりから、かつてはこの爵が青銅器最古萌芽期の作品とは思えず、もっと早い時期の青銅器作品が他に存在するに違いないと考えられていた。もともと新石器時代以来の白陶や黒陶からなる”き”
や ”か”といった酒器が青銅器に置き換わったもの。平底爵は近年の新発掘でも極めて少なく世界の収蔵家・美術館渇望の品。
香港著名銅器収蔵家旧蔵。支え飾り台付き。
参照 : DK-051 |