鋳銀製轆轤挽き上げ、被蓋造の薬壷型の小壷。身の胴廻りにはペルシャ風に鹿や猪と、それを狩る人物像等が毛彫の技法によって生き生きと描かれ、地は魚々子地を打って仕上げている。文様部に鍍金の同類品が東大寺大仏殿より出土し、造建に関わった由緒深い作品としてとりわけ有名であり、国宝に指定されている(多年に渡って土中に埋納されていたため鍍金の耀きが失われていない)。両品を比べてみると文様の細部に多少の差異がある。例えば本品の動物は5匹(鹿・猪・犬)騎馬する狩人は一名など。
本品も長く日本に伝世しており、すでに平成9年発行の美術史「史跡と美術」に紹介されている。唐時代か奈良時代か、すなわち中国製か日本製か明確にはできないが、何にしても極めて貴重な資料と言えよう。
恐らく同一人物によって製作された同類品の1個が国宝になり、他方は民間に流れ流れと言う美術品流転の面白さを感じさせ愉快である。近年館を閉じた大阪萬野美術館旧蔵品。
※ 参照本 |